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ブログ
3.182022
オンライン診療 〜診療報酬改定にみるこれからの方向性〜
2022年度の診療報酬改定ではオンライン診療についても大きく変わっています。
これからの診療所の運営にどう対処したらいいのでしょうか?
医療法務を専門としている行政書士がわかりやすく解説します。
診療報酬改定2022の基本指針
今回の診療報酬改定の基本認識は
- 新型コロナウィルス感染症などにも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築
- 安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革などの推進
- 患者・国民にとって、安心・安全で質の高い医療の実現
- 社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政の調和
以上の4つです。
そして改定の基本的視点と具体的方向性でも4つ示されています
- 新型コロナウィルス感染症などにも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築
- 安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革などの推進
- 患者・国民にとって、安心・安全で質の高い医療の実現
- 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
このうち、これからのべる「オンライン診療」に関していえば、
a.の具体的方向性にある「かかりつけ医の役割」
a、cにある医療におけるICTの利活用
との関連性が強いと思われます。
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000864859.pdf
オンライン診療の改定
オンライン診療の具体的な改定内容の前に、オンライン診療は2022年1月28日に
「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の海底に関する局長通知、並びに指針改定による
Q&Aに関する事務連絡が出されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000889126.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000903640.pdf
その中で特徴的だったのは
「オンライン診療のみで必要な情報が得られ、結果として、対面診療を行うことなく治療が完結する
ことはあります」とあり、オンライン診療のみで治療の完結がありえると明示した点にあると思います。
そして、
「同じ疾患名でも個々の患者の状態は様々であることから、疾患名だけで判断することは困難です」
というように、疾患の縛りがあるわけでもないということです。
もちろん、
「オンライン診療は対面診療と適切に組み合わせて行うことが基本です」
と記載されていますから、対面とオンラインのハイブリッドで行われることが基本である姿勢は変わらないです。
しかしながら、今回の指針でオンライン診療のみでの完結がありうることが示されたのは
「オンラインファースト時代の医療」
に向けた大きな変化であるかもしれません。
また、
「同一患者の同一疾患について、対面診療を行っている医療機関があれば、そのほかの医療機関が
当該患者に対してオンライン診療のみを行うことが認められますか」
という質問に対しても
「当該患者の当該疾患に対して、対面診療を実施する医療機関とオンライン診療を実施する医療
機関が別れることも考えられます」
と回答されています。オンライン診療のみを別施設で行うことが可能としている点は、とても新鮮な変化
であると考えています。
まさに、対面とオンラインのハイブリッドな診療が可能になった指針となったと言えると思います。
それでは、2022年度診療報酬改定の話に移ります。今次改定の大きな変化は、「オンライン
診療料」が廃止になった点です。
2018年度改定に鳴り物入りで新設されたどう項目ですが、その算定要件は大変厳しく
たとえば、算定要件が限定されていたり、オンライン診療の開始前や、開始後の3ヶ月に1回
対面診療を必要としたり、さらには同項目の算定回数を全診療回数の1割以下に
しなければならないなど、オンライン診療の実態に合わないとても使いづらいものでありました。
今次改定では、この項目を廃止する代わりに「初診料(情報通信機器を用いた場合)」
「再診料(情報通信機器を用いた場合)」となりました。
オンライン診療を行う場合の「診療計画」と、厚生局への施設基準にかかわる届出は必要ですが、
それ以外は特に条件なく使えるようになりました。
そしてなにより、算定点数が増点されています。
「初診料(情報通信機器を用いた場合)」は251点(現在は214点)と対面診療の約87%と
なっています。
また、算定可能な医学管理料が2倍以上になりました。従来のオンライン診療で管理料として算定
可能なもののうち、検査料などが包括されている「地域包括診療料」「認知症地域包括診療料」
「生活習慣病管理料」が算定できなくなりましたが、「ウイルス疾患指導料」「皮膚科特定疾患指導
管理料」「小児悪性腫瘍患者指導管理料」「がん性疼痛緩和指導管理料」など14種類が新しく
算定できるようになりました。
これらの点数に関しても、初診料と同様に対面診療時の点数の約87%で定められている。
なお、「再診料(情報通信機器を用いた場合)」については、現行は対面診療時と同様の73点
となっています。
これからの方向性
これまで述べてきたように、オンライン診療に関しては、指針および診療報酬のいずれにも大きな
前進がみられました。2018年度改定の際に初めて「オンライン診療料」が創設され、そして
次の2020年度に改定があり、今回で3度目の変化となりましたが、2022年度改定が
もっとも大きな改定となったのではないでしょうか。
「オンラインファースト」の医療に向かって間違いなく時代が大きく変化を遂げようとしています。
リフィル処方箋の導入とあわせて、患者さんの受診機会が減少して行くことを前提として、診療所の
方向性を固めていきましょう。
一緒に考えていきませんか
最後までお読みいただきありがとうございました。
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